ロシアによるウクライナ侵攻などの社会・政治情勢により、化石燃料エネルギー価格が高騰しています。それに伴う電気代高騰が日本人の生活に影響を与えています。電気代の大幅値上げを乗り越えていくためには、企業・家庭問わず何らかの対策が必要です。太陽光発電導入による売電は電気代の値上がり対策としてポジティブな案のひとつです。

太陽光発電の仕組みとメリット

太陽光発電は、太陽の光を太陽光パネルによって電気に変換する仕組みです。太陽光パネルは太陽の光を受け取り、光エネルギーを直流電気に変換します。そして、インバーターと呼ばれる装置によって直流電気を家庭用の交流電気に変換し、家庭の電力需要を賄います。

他の発電方法と比べて、発電のメカニズムがシンプルで、構成機器に駆動部品がないため、故障や劣化のリスクが少なく、長寿命でメンテナンスの手間が少ない発電方法といえます。

もちろん、太陽光パネルの表面が汚損・破損していると発電効率が低下してしまい、期待した発電量が得られないため、適切な点検やメンテナンスは欠かせません。とくに自然災害を受けてパネルが破損してしまうと、火災や感電といった思わぬ事故の発生にもつながりかねないため、注意が必要です。

太陽光発電のメリットは、まず再生可能なエネルギー源であるため、地球環境への負荷が少ないこと。また、発電時に二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策に貢献することが挙げられます。

さらに、太陽光は無料で供給されるため、発電コストが低くなり、電気料金の節約につながることもメリットです。とくに近年は電気代の高騰が大きな話題となっています。電力を消費する機器や人数が多かったり、寒暖の差が厳しく冷暖房が必要不可欠な環境にあったりなど、大量の電力を必要とする企業・家庭は、太陽光発電所をもつことで電気を自給自足することで電気代を下げられます。

また災害時など停電が発生した際に、自家発電が可能なこともメリットのひとつです。太陽光発電は地球環境に配慮したクリーンエネルギーを活用することで、持続可能な未来を築く一助となるだけでなく、売電により経済的な恩恵を得られることが特徴です。

売電とは何か

売電とは、自家発電した電力を電力会社に売ることを指します。太陽光発電によって生み出した電力を電力会社に売ることで、売電収入を得られます。このシステムは「FIT（Feed-in Tariff）：固定価格買取制度」や「FIP（Feed-in-Premium）」として日本でも導入されており、設置した太陽光発電システムの発電量に応じて電力会社が電力を買い取ってくれます。

FIT制度は一定期間、固定価格で電力会社に電気を買い取ってもらえる制度で、FIP制度は市場の需要と供給によって売電価格が変動する制度です。10kW未満の小規模な家庭用小規模太陽光発電システムや、ビル・工場の屋根に乗せるような10～50kWの低圧事業用太陽光発電システムの場合は、自分で消費した後の余剰分のみが売電対象となります。

50kW以上の産業用の高圧太陽光発電システムではすべての発電電力を売電可能ですが、1kWあたりの売電価格は安めに設定されています。FIT・FIPいずれの制度も再生可能エネルギーのマーケット統合とさらなる普及拡大が目的です。

これらの売電制度導入の狙いは、国内の太陽光発電所の増加です。近年の日本の低いエネルギー自給率（2021年の時点で13%）が改善できれば、世界情勢にふりまわされず、自国のエネルギーを賄うことが可能になるでしょう。

太陽光発電による売電の注意点

太陽光発電による売電では、主に3つの点に注意が必要です。

売電価格の変動

太陽光発電による売電価格は、すべての人が同じ条件で固定されているわけではありません。FIT制度で契約している場合は契約締結時の価格で売電が可能ですが、FIP制度においては時間帯や地域によって売電価格が変動します。価格の変動に注意し、売電収入を見込んだ収益計画を立てることが重要です。

購入価格とのバランス

FIP制度下では「同時同量の原則」を達成するために、発電予測・計画提出に沿って売電する必要があります。計画と実測が一致しない場合、インバランスというペナルティが課せられ、売電価格が安くなってしまう仕組みです。売電することで収益が得られる一方で、発電予測や自家消費電力量に狂いが生じると、損をしてしまう可能性もあります。

太陽光発電は天候によって発電量が変わる性質があります。気象予報でも翌日の天気を100%的中させることは困難ですから、翌日の発電量を100%正しく予測することも当然困難です。そのため、インバランスリスクをある程度見込んだ事業計画をたてることが求められます。

メンテナンスと点検を怠らない

基本的なことではありますが、システムの効率を保つことで、売電収入を最大化できます。

まとめ

太陽光発電による売電は、クリーンエネルギーを活用し収益を得る方法として魅力的ですが、利益を出すためにはしっかりと計画し、運用することが重要です。

とくにFIP制度での太陽光発電の導入を検討している方や、FIT制度を卒業した後に継続して売電収益を得たいと考えている方は、どんな条件で契約するか事前にしっかり検討することが求められます。発電所を適切にメンテナンスしながら、環境に優しく、経済的な太陽光発電を楽しんでください！

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